・調馬索は馬がリラックスしていることが大切です。
・調馬索は馬と親和を図り、人馬の調和を高めることが目的です。
・良い全身運動のために自然なトップラインの進展を求めます。そのためにもリラックスが必要です。
・調馬索はグランドワークの一種です。
・調馬索は騎乗とほとんど同じです。上から伝えるか横から伝えるかというだけです。
・必ず手袋とヘルメットを着用しましょう。
・事前の練習として、舌鼓、調馬索のたたみ方、追い鞭の動かし方を何度も練習しておきましょう。
・調馬索では必ず馬が走りやすい場所を選択しましょう。馬が通る場所に水たまりやぬかるみ、地面の硬い場所や砂の深い場所があってはいけません。また馬が速くなってしまった場合に、遠心力が強くなり転倒する可能性があることも考慮しておきましょう。特に柵のある丸馬場やラウンドペンでは、馬が転倒したときに柵に肢を突っ込んで大怪我をすることがよくあります。
・調馬索では次のことは禁止です。(馬を追い回す。馬を興奮させる。馬を怖がらせる。馬を疲れさせる。馬を飽きさせる。跛行回復期の馬におこなう。自分が何を頼みたいか決めてない)
調馬索では基本的に鞍を装着せずに行います。
調馬索では急な馬の動きが大きく、不意に暴れたときなどに腹帯託革を壊す可能性があるからです。
騎乗前に調馬索をする場合は、鞍等は付けずに調馬索をして、その後に鞍を装着して騎乗します。
(これは競技会でも同じです。本番前に鞍をつけたまま調馬索をして鞍を壊したトラブルや、鞍がずれて馬が暴れまくっているのを見たことがあります)
鞍等を装着して調馬索をするのは、初期調教において大腹帯の馴致後に、ゼッケンや鐙などの付属品を教育する時期だけにしています。油断や手抜きはしないで常にリスクに備えましょう。
調馬索のとき安全な手綱のまとめ方は写真のようにします。
手綱をいったん前に出し、まとめて頸の向こう側から首にかけ、手綱の根元に数回巻きつけてから先端にのど革を通して留めます。
こうすることで馬が頭を自由に動かせてしかも手綱を踏む危険性がなく安全です。
よくある手綱のまとめ方は、このように左右の手綱をねじって間にのど革を通して留めるやり方です。
ただしこの留め方は危険なときがあります。
調馬索中に馬が頭を下げると、前肢で手綱を踏む可能性があります。
トップラインの進展ができるようになるほど危険になるので、この留め方はあまりしない方がいいでしょう。
調馬索の頭絡へのつけ方は、ハミ環の外側から入れて上に上がって項革の後ろを通り、
反対側のハミ環の下顎側へ外側から内側に向かってつけます。
(すべてのナスカンは異物が挟みこまれないよう内向きに付けましょう!)
下顎の下を通して反対側のハミ環へつけるのは危険です。
抑えが効かず持っていかれて放馬することがあります。
また馬が頭や口を上げて走ってしまうのでトップラインの進展を求めにくくなります。
調馬索は最大に伸ばしても安全のために輪っか1つ分は余裕を持たせておきます。
調馬索の端を持っていると、馬に急に引っ張られたときに持っていかれて放馬してしまいます。
調馬索は騎乗時の手綱と同じように、軽いテンションで張っていて地面からは常に浮いています。
上手になると雨上がりで馬場が濡れていたり水たまりがあっても、調馬索は少しも濡れることなく終わることができます。
調馬索は手元から馬までに捻じれが無いようにします。
捻じれがあるととっさのときに操作の妨げになります。(手綱と同じですね!)
追い鞭は基本的に前向きに持ちます。
新馬や、馬が気にしているとき、馬に刺激を与えたくないときは、後ろ向きで持ちます。
馬に刺激を与えたくないけどすぐに使うかもしれないときや、前向きで持っていて疲れたときなどは、このように持ちます。
人差し指と中指と親指で上から押さえて、追い鞭本体を腕の上に載せておきます。
握りこむとすぐに前向き持ちに変えられます。
ただし急に行うと馬を追うことになってしまうので注意しましょう。
鞭先は通常、馬の後方1~2馬身の位置に向けておきます。
鞭先の高さは通常、地面すれすれにしておきます。
鞭先を上げると意味のある言葉になります。
左手前のときは、左手に調馬索、右手に追い鞭を持ちます。
右手前に変えたときは今までと逆に、右手に調馬索、左手に追い鞭を持つ方法もあります。
しかしこのやり方は手の役割が逆でやりにくい、調馬索を回収したとき捻じれる、次回使いにくい、などの問題があります。
そこで調馬索を右手前にしたときは、左手に調馬索の余りと追い鞭を持ち、右手で調馬索のリードを持ちます。
こうすることで調馬索を右手で左手にかけるという役割はいつも同じになり、回収したときに調馬索が捻じれず、次回も使いやすくなります。
人間は円の中心にいるようにします。
馬は自分で同じ距離をとって回ります。
円の中心でじっとしていることで「ここを中心として回って」というボディーランゲージを示します。
電柱のようにじっとしていましょう。こうすることで馬は自分で等距離をとって丸く回ることを覚えます。
人間が小さな円を描くように歩き回ったりすると、馬は外へ引っ張って走っていったり内側に切り込んで走ったりするようになることがよくあります。気をつけましょう。
馬との相対位置
①図中央
基本的な位置取りです。馬とは二等辺三角形のようになります。馬体の中央の横、帯道あたりに90度になるよう立ちます。
②図左
馬を減速させるときの位置取りです。馬の頭に90度になるように立ちます。馬は前に出にくくなります。ただし反転されやすくなります。
③図右
馬を加速させるときの位置取りです。馬の尾に90度の直角三角形になるように位置取りします。馬は前に出やすくなります。ただし信頼関係を壊す位置なので常用や多用は避けます。一瞬だけ右にステップして馬が返事をしたらすぐに基本位置に戻って馬をリラックスさせます。数回の調教でほとんど使用しなくなります。
調馬索中の姿勢は、リラックスして胸を張り真っすぐ立ちます。
自分の身体の正面は常に馬に向けておきます。
引っ張られでも大丈夫なバランスで立ちましょう。
調馬索を持っている手は体の正面、自分の重心であるお腹の前にしておきます。
強く引っ張られることが予想できるときは両手で持つのも可です。
よくあるミス:腰が引けて小さくなる。狙うようにかがむ。
よくあるミス:前のめりになる、猫背になる。
よくあるミス:馬を抑えようとして身体を捻る。(身体を馬の後方に向ける)
調馬索をする場所へ来たら、馬に位置を教えるように、まず引き馬で一周します。
馬に背中を向けているときは「ついておいで」のボディーランゲージになっています。
馬体が馬場の入り口や厩舎に向いた位置で、調馬索のリードを右手から左手へ移し、身体の正面を馬に向けます。
自分の身体の正面を馬に向けることが「離れてね」の意味になります。
☆離れ際、馬と一馬身前後の距離が一番危険なので注意して素早く離れます。
馬の様子を見ながら、そのまま円の中心にステップバックします。
写真は後ろ向きに下がっている様子です。
もし馬が近づいてきてしまった場合、馬を希望する円の蹄跡に導くには、希望する円の蹄跡まで馬と平行に移動します。
馬が蹄跡に達したら円の中心まで戻ります。
調馬索を伸ばすときは、調馬索の余りの輪を一個ずつ離すのではなく(いっぺんに幾つも離してしまったりして危険)馬から離れていくまたは馬に遠ざかってもらいながら、手の中を滑らせるようにして伸ばします。
調馬索中の移行の合図は、音声とボディーランゲージを使います。
馬がリラックスして心を開いていること、人間がプレッシャーをかけずにいつも穏やかで平静でいることが大切です。
常歩から速歩にする。
1、進行方向へ腕を伸ばして指差す。
2、「速歩」と言う。
3、速歩リズムの舌鼓をする。(チッチッチ)
スムーズに速歩になれば2以降は省略可。
外から見るとこんな感じ。
速歩から駈歩にする。
1、進行方向へ腕を伸ばして指差す。
2、「キャン」と言う。
3、駈歩リズムの舌鼓をする。(チチッチチッ)
スムーズに駈歩になれば2以降は省略可。
(「キャン」と言うのは駈歩レッスンのときに指導員の「駈歩」の音声を覚えて駈歩になってしまわないようにするためです。英語の駈歩=キャンターを使います)
駈歩から速歩にする。
「ホーーー」と言う。
速歩になったら言うのをやめる。
速歩から常歩にする。
「ホーーー」と言う。
常歩になったら言うのをやめる。
提案したリズムよりだんだん遅くなってきたら、提案したリズム(=なってほしいリズム)の舌鼓をする。希望のリズムになったらやめる。
提案したリズムより早くなってしまい移行せずにゆっくりにしたいときは、まぁまぁやイージーイージーなどの穏やかな声をかける(ホーは移行で使うため、ゆっくりにするのには使わない)。ゆっくりになったら言うのをやめる。
つまりホーは全減却、まぁまぁは半減却です(^^)
調馬索のときの馬の良い状態は、
①馬が内方姿勢をとっている。
②馬が頭を下げてたてがみが水平以下になる。
(リラックスしてグランドカバーになりトップラインが伸展する)
です。
逆に良くない状態は、
①馬が外方姿勢になっている(外を向いている)
②馬の頭が高い。背中を反っている。
③馬が速くなったり跳ねたりして嫌がる。止まったり反転して逃れようとする。
馬が内回りをしたり中心に近づいてきたときは、人間が身体の正面を馬に向けたままじわーっと近づきましょう。
馬は内方姿勢をとったまま同じリズムで外に膨らんでいきます。
(驚かせるように踏み出すわけではありません。またこのとき調教や信頼が不足していると馬は目の前を速く通り過ぎようとしてしまいます)
人間がゆっくり踏み込んでいくと、馬は自分で一定の距離を保とうとして離れていきます。
内方姿勢のまま前肢をクロスして遠ざかります。
調馬索は手綱と同じです。一定のテンションでコンタクトが維持されます。
馬自身も調馬索が地面につかないように気をつけてくれます。
内回りしたとき外に押す誘導その2
追い鞭のひもを垂らして見せます。
馬が外へ移動したらさっと下ろします。
このとき追い鞭の動かし方に気をつけましょう。
地面すれすれに正面までいどうし、馬との間で上げます。
後ろから持ってくると馬を追うことになって馬が嫌がります。
内回りしたとき外に押す誘導その3
追い鞭を左右に揺らしてひもをSの字のように動かして、面や壁のようにします。
馬が外へ動いたらさっと下ろします。
内回りしたとき外に押す誘導その4
調馬索をくるんと回してロープの輪を馬に向けて送ります。
これも馬に面を意識してもらうことになります。
馬と立ち位置や姿勢で会話できるようになるとこんなこともできます。
馬にゆっくりと近づくと、馬は自分で考えて等距離を保つので、肩内と同じように外へ横運動を開始します。
人間が歩くのをやめて止まると、その地点を中心とした円で運動を継続します。
調馬索で円の移動テストもしてみましょう。
図のように動いて馬場のどこにでも行けるようになるといいですね。昔からハロ掛け後や雨上がりに、馬場の全面に均等に足跡をつける遊びをよくやりました。
止まったときに引っ張らずに、身体をやや左に向けて円運動に入ることを誘うのが大切です。
並行のときに走る必要はありません。馬がリラックスしていて人間を信頼していることを目指しましょう。
しばらく常歩で歩いているのを確認してから、円の中央へ呼び寄せます。
馬とアイコンタクトしたまま背中を見せます。
(正面を向けている間はこちらに来ないでという意味になっています)
馬がこちらに向かって歩いてきます。
調馬索を踏まれないように、しかも馬を引っ張らないように、慎重に素早く回収しましょう。
感謝の気持ちを伝えます。
調馬索は強制や労働や懲戒ではありません。
対等な二人のダンスです。
騎乗と同じですね。
二人ともにっこり(^^)
馬を呼んだら両手を広げたり狭めたりながら調馬索を回収します。
右手で調馬索を左手にかけていきます。
右手は調馬索を手の中で滑らせるようにして、持ったままにします。
気をつけるポイントは、左手に調馬索をかけるときに、写真のように調馬索の自分側をかけるようにすることです。
調馬索の馬側を左手にかけてしまうと右手を調馬索から離してしまうことになり危険です。
写真のように調馬索の自分側を左手に渡すようにすることで、右手はずっと調馬索を持っていることが可能になるのでとても安全です。
調馬索は馬との会話です。
馬も自分もリラックスして、馬と話し合いながら自由自在に三種の歩様ができるようになりましょう!
いつでも馬の気持ちを考えることが大切です(^^)
追加予定
内回りした時の伝え方